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喪服奴隷・七菜~香織の巻~
第4章 判決
省吾は何も言うことができず、先を促す。
『自分であれほど父親のいない子は不憫だとおいっておきながら
自分がその父親を刺したんですよ。慌てて119番通報しました。
なんとか助かってくれ、天に祈りました。
来てくれた救急隊員に促されて、110番通報もしました。
この人は絶対に助けるから、ここで待っていなさいと言われました』
そうか、それで俺は助かったのか。

『それからはずっと刑事さんや弁護士さんにいろいろ聞かれたんですが
ほとんど頭に入らなくて・・・ずっと子どものことを考えていたんです』
七菜は改めて省吾の眼を見つめて頭を下げる。
『ご主人様にお願いがあります。
どうかこの子が生まれたら認知してください。
あなたを殺そうとした私が、こんなお願いをするのは恥知らずです。
ですから恥を忍んでお願いします。どうか認知してください。
そのためなら私はどうなってもかまいません。奴隷以下でも結構です。
猶予の5年がたって、飽きたら捨てていただいてもかまいません。
この子と二人で、泥水を啜ってでも生きていきます』

省吾は思わぬ成行きに、ただただ驚く。
たしかに俺は目の前の七菜に殺されそうになった。それは事実だ。
しかしそのタネを蒔いたのは俺自身であり
七菜の話は、俺にとって都合のいいことばかりだ。
果たして本心なのか?試しにちょっと探りを入れてみるか。
「俺を殺そうとしたくせに、よくそんなことが言えるな。
虫がいいと思わないのか?」
七菜はますます床に頭を擦りつけ
『本当に反省しています。心からお詫びいたします。
この子がいなかったら、私は殺人者のレッテルを張られたんです。
これから先、お腹の赤ちゃんにさわらなければ、どんな罰でも受けます。
お気に召さないかもしれませんが
この身体を自由にしていただいても結構です』
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