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恋に落ちる時
第7章 丸の内の彼 -4-
「もぅ…座って待ってて下さい!」

泣きそうだったから一人でキッチンに来たのに_そんな私の気持ちなんか露知らず、逃さないと言わんばかりについてくるアキラさんに思わず語気が強くなる。

「まだ話の途中でしょ、親父から聞いたんだろ?」

「だから、答えたくないの。」

「いやそれ以外考えられないわ、ごめん…まさかそんなとこから伝わるとは思ってなくて。全くアイツ。―今度会う時、ちゃんと言うつもりだったんだ。そのことで怒ってるの?」

「ごめんって…何に対してですか。怒ってなんかないです…―。」

マスターは全然悪くないじゃない!何なのこの無神経男、あぁ、何でこんなやつ…―最低な男なのに、何で私…こんなにアキラさんが好きなんだろう。

もぉダメだ。そこまで何とか堪らえていた涙が瞳からこぼれて頬を濡らす、最初の一粒がこぼれると後はもうとめどなく次から次へと溢れた。

子供みたいに泣きじゃくる私の後頭部に大きな手が優しく回され、ふいに引き寄せられる。
白いシャツ越しに、彼の胸に頰があたり、もう一方の腕が背中に回ると、ギュッと力がこめられた。

「やだっ…アキラさんなんかキライ、離して、もぉ帰って…帰ってよぉ。」

ジタバタと押し返すけど全然離れてくれなくて、、、

「ごめん、ごめんって。俺が悪かった。確かにゆかちゃんの気持ちも聞かずに勝手に一人で盛り上がっちゃってたけど――……そんなにイヤ?俺と結婚するの。」

「………え?」




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