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真面目で優秀な、憧れの生徒会長はDQNに弄ばれます
第7章 疑惑
放課後。
僕は何をするでもなし、教室に残っていた。
……一応、漫画を描くフリをして。

八木さんも何か作業をしていて、まだ帰る気配はない。
もしかしたらペンを持ってきてくれていて、何か話せるかも。
でも僕が先に帰ったら、例えペンを持ってきていたとしても八木さんは僕に声を掛けないんじゃないかな、とそんな気がして、そう思うと帰ることが出来なかった。

気が付くと、教室に二人になっていた。
運動部の掛け声が遠くから聞こえてきて、少し西陽が差し込んで来ている。

八木さんはまだ帰る気配がない。

(……もしかして、僕に声を掛けてもらうことを待ってるのか……?)

まさか。
でも、確かにこういう時は男から声を掛けるものだと思う。

だとするとこの時間は、沈黙は、秒針進むのと同じスピードで八木さんからの点数が下がって行っているのかもしれない。

(……よし!)

意を決して振り向く。

……と、八木さんはカバンを持って立ち上がったところだった。

「……あ……」

間抜けな声が口から出る。
八木さんは少し笑って、熱心なのも良いけど、程々にね、と母親のようなことを言って教室を出て行った。

「……」

(忘れてるのかな……?いや、でも……)

しっかり者の八木さんがそんなちょい忘れをするだろうか?
もしかして、やっぱり八木さんとはもう何も無いのだろうか……。

肩を落としながら教室を出る。
……すると。

ふにっ

何かとても柔らかいものが、僕の体に触れた。
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