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乳母…めのと
第5章 乳母…5
「今日は、先に帰っていて。仕事があるんだ。」
川口は事務所に残りあおいに部屋に行くように言った。

「桜田の妻…どこかで…」
歩道橋事故の件で防犯ビデオを借り、ダビングをしておいた画像を川口はジッと見つめた。

「いない…どこだ…どこであの妻を見たんだ?」
歩道橋の防犯ビデオには見当たらなかった。

どうしても思い出せず探し出せなかった。

偶然にどこかで会っていたのか?そんなに昔では無い。
でも、記憶に残っているのは…

何度も何度も防犯ビデオを見たが分からなかった。


部屋ではあおいが1人ポツンとベッドに座り込んでいた。
桜田との事を思い出していた。

あんなに信じて愛した人なのに、今はもうただのおじさんにしか見えなかった。
何故あんなに好きだったのか…
思わずクスリと笑ってしまっていた。

本当、盲目だったわ…

好きじゃなくて依存していたのになんとなく気付いた。

川口に対しても依存?
自分の心に問いかけていた。

優しくて頼り甲斐がある…

依存?

考えてもあおいには分からなかった。


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