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乳母…めのと
第3章 乳母…3
「あおいさん、もし、ここを出たくなったらいつでも気兼ね無く言って下さい。」
夕食を終えた時、佐野が急に言ったのであおいは驚いた。

「ここを?」
自分が邪魔なのか…そろそろ出て行った方がいいのか、遠回しに言われているのか、あおいはいろいろ考えた。

あおいの困惑した表情に
「あ、あおいさん…もし、この先、あおいさんが新しい生活をしたくなったらですから…好きな人が出来て…結婚とか…」

あおいはジッと佐野を見つめた。

「お、俺は…ず…ずっと…隼人が大きくなるまでお願いしたいのですが…」

「はいっ、隼人君が大きくなるまで責任を持って居させていただきます。」
あおいの表情が明るくなった。

大きくっていつまで?
生まれた頃より今は大きいし…
おっぱいが要らなくなるまで?

先のことを考えると寂しい気持ちが込み上げてきた。

「あおいさん?」
佐野はあおいのふとした寂し気な表情を見逃さなかった。

「はい?」

「何か悩み事?」

「あ…いいえ。」

「初めての子育てでいろいろ大変ですよね。何かあったら何でも言って下さいよ。俺も言いますから…」

「あ…はいっ…ありがとうございます。」

「無理をし過ぎないで下さい。あおいさんはとても大切な人ですから。」
その「大切」という言葉に反応したあおいは視線を床に落とした。

そして桜田の「あおいは大切な存在」と言っていた事を思い出していた。




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