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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第1章 第一話【天つみ空に】 其の壱
忌々しそうに言い捨てた叔父の表情は、どう見ても、たった一人の姪が身の落ち着く先を見つけられたのを歓んでいるようには見えなかった。清五郎のこともそんな風に口汚く罵った挙げ句、兄の位牌に手を合わせることすらなく脚音も荒く帰っていったのだ。
父の葬儀を終えた数日後、お逸は住み慣れた肥前屋を出た。これ以後、肥前屋は看板を下ろし、父を含めて四代続いた老舗はなくなってしまうのだ。そう思うと、不覚にもまた涙が零れそうになりながらも、伊勢屋から迎えによこされた駕籠に乗った。
そして、今、清五郎とこうして相対面しているといったわけだ。だが、出迎えた清五郎から聞かされた言葉は意外なものだった。
父の葬儀を終えた数日後、お逸は住み慣れた肥前屋を出た。これ以後、肥前屋は看板を下ろし、父を含めて四代続いた老舗はなくなってしまうのだ。そう思うと、不覚にもまた涙が零れそうになりながらも、伊勢屋から迎えによこされた駕籠に乗った。
そして、今、清五郎とこうして相対面しているといったわけだ。だが、出迎えた清五郎から聞かされた言葉は意外なものだった。