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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第1章 第一話【天つみ空に】 其の壱
肥前屋に着くなり、お逸はまず奥の客用の座敷に通された。清五郎が床の間を背にして座り、お逸はそれに向かい合う形でやや下座に座る。床の間に掛けてある軸は、秋の七草。〝清風〟と落款が押してあることから、主の清五郎自身の手になるものだと判る。
暦は既に霜月の上旬に入ってはいたものの、日中はまだまだ、動けばうっすらと汗ばむほどの陽気が続いている。庭に面した障子戸はすべて開け放し、小庭が見渡せた。片隅に真っ赤に色づいた紅葉が秋の陽を浴びている。お逸は、その紅葉を眼を細めて見つめた。
「この度のことは、私も本当に愕きもしたし、残念にも思ってるんだよ」
暦は既に霜月の上旬に入ってはいたものの、日中はまだまだ、動けばうっすらと汗ばむほどの陽気が続いている。庭に面した障子戸はすべて開け放し、小庭が見渡せた。片隅に真っ赤に色づいた紅葉が秋の陽を浴びている。お逸は、その紅葉を眼を細めて見つめた。
「この度のことは、私も本当に愕きもしたし、残念にも思ってるんだよ」