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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第3章 第一話【天つみ空に】 其の参
お逸はその夜、部屋の縁側に座っていた。夕餉の後、風呂を使い、髪を洗った。お逸の艶やかな黒髪は緩くうねり、腰まで届いている。量が多いため、普段は女中のおみねに梳かして貰っているのだけれど、今夜だけは自分でするつもりであった。
どういうわけか、気心の知れたおみねまでをも遠ざけて、一人になりたいと思ったのだ。
日に三度の食事も、お逸はこの部屋でたった一人で食べる。たとえ形だけとはいえ夫婦でありながら、清五郎と共に食事を取ったことは一度としてないのだ。
どういうわけか、気心の知れたおみねまでをも遠ざけて、一人になりたいと思ったのだ。
日に三度の食事も、お逸はこの部屋でたった一人で食べる。たとえ形だけとはいえ夫婦でありながら、清五郎と共に食事を取ったことは一度としてないのだ。