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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第3章 第一話【天つみ空に】 其の参
清五郎が嫌いというわけではない。お逸が物心つく前から知っている人だし、幼いお逸を抱き上げたり膝に乗せて一緒に遊んでくれた人だった。お逸の苦境を救ってくれた恩人として、心からの感謝を抱いているし、自分でできることなら、何なりと尽くすつもりだ。
だが、清五郎への想いは、真吉に対するものとは全く違う。清五郎への想いが亡き父に対するものと似ているならば、真吉への想いは―、あの男を思い出しただけで、泣きたくなるほど胸が苦しくなり、そのくせ、ときめき昂ぶる心を抑えられない。このいまだかつて経験したことのない気持ちが何なのか、お逸も漸く自覚し始めていた。
だが、清五郎への想いは、真吉に対するものとは全く違う。清五郎への想いが亡き父に対するものと似ているならば、真吉への想いは―、あの男を思い出しただけで、泣きたくなるほど胸が苦しくなり、そのくせ、ときめき昂ぶる心を抑えられない。このいまだかつて経験したことのない気持ちが何なのか、お逸も漸く自覚し始めていた。