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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第3章 第一話【天つみ空に】 其の参
あの日の光景がまるで、今もそれを見ているかのように甦る。ひらひらと舞う紅葉が花びらのように、雪のように二人に降りかかっていた。
もう一度、刻を戻せるなら。お逸の眼から溢れ出した涙が白い頬をつたう。
と、背後の襖が音もなく開いた。
お逸は突然のことに、愕いて身をすくませた。恐る恐る背後を振り返ると、夜の闇を纏うようにひっそりと清五郎が佇んでいた。
「少し邪魔をしても良いか」
常ならぬ低い声に違和感を憶えたものの、頷かないわけにはゆかない。お逸は慌てて立ち上がった。清五郎はすべるように部屋に入り込んでくると、襖を後ろ手に閉めた。
もう一度、刻を戻せるなら。お逸の眼から溢れ出した涙が白い頬をつたう。
と、背後の襖が音もなく開いた。
お逸は突然のことに、愕いて身をすくませた。恐る恐る背後を振り返ると、夜の闇を纏うようにひっそりと清五郎が佇んでいた。
「少し邪魔をしても良いか」
常ならぬ低い声に違和感を憶えたものの、頷かないわけにはゆかない。お逸は慌てて立ち上がった。清五郎はすべるように部屋に入り込んでくると、襖を後ろ手に閉めた。