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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第3章 第一話【天つみ空に】 其の参
お逸は咄嗟に身を固くして、怯えを滲ませた眼で清五郎を見上げた。だが、清五郎がすぐに掴んだ手を放したので、ホッとする。
そんなお逸を清五郎が感情の窺えぬ瞳で見つめている。
「まさか、まだ起きているとは思わなかった」
清五郎が唐突に言った。ならば、いっそのこと寝ているふりをしていれば良かった―と、お逸は思う。灯りを消して床に入っていれば、清五郎もそのまま自室に帰っていったただろうに。正直、こんな夜更けに清五郎と二人だけで―しかも薄い夜着一枚のしどけない姿でいるのには抵抗があった。
そんなお逸を清五郎が感情の窺えぬ瞳で見つめている。
「まさか、まだ起きているとは思わなかった」
清五郎が唐突に言った。ならば、いっそのこと寝ているふりをしていれば良かった―と、お逸は思う。灯りを消して床に入っていれば、清五郎もそのまま自室に帰っていったただろうに。正直、こんな夜更けに清五郎と二人だけで―しかも薄い夜着一枚のしどけない姿でいるのには抵抗があった。