この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第3章 第一話【天つみ空に】 其の参

狙うなら、その隙であった。今なら、まだ逃げ出す機会は十分にあるだろう。続きになった庭づたいに表の方までゆくと、前方にぼんやりと灯りが揺れるのが見えた。
お逸は全身に緊張を漲らせた。何てことだろう。ここまで来て、おめおめと見つかってしまうとは。悔しさに歯がみした時、前方を照らす提灯の明かりがフッとかき消えた。
愕きのあまり物も言えないでいるお逸に、黒い影が忍び寄る。思わず身を退くと、囁き声が耳許をかすめた。
「お内儀さん」
お逸は全身に緊張を漲らせた。何てことだろう。ここまで来て、おめおめと見つかってしまうとは。悔しさに歯がみした時、前方を照らす提灯の明かりがフッとかき消えた。
愕きのあまり物も言えないでいるお逸に、黒い影が忍び寄る。思わず身を退くと、囁き声が耳許をかすめた。
「お内儀さん」

