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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第3章 第一話【天つみ空に】 其の参

この声は―。お逸は、安堵と嬉しさが同時に込み上げてきて、涙が溢れた。
この声を、自分はどれだけ聞きたいと願ったことだろう。ひっそりとした薄い闇に、上背のある男の姿が浮かび上がる。月明かりに照らし出された真吉の貌は、どこまでも静謐だった。この漆黒の瞳に見つめられたいと、ずっと思っていた。焦がれて焦がれて、どうしようもないほどに。
「真吉さん」
何か言おうとするお逸の唇を、伸びてきた真吉の手が覆った。真吉が眼顔でかぶりを振る。その眼は、〝何も言うな〟と告げている。
この声を、自分はどれだけ聞きたいと願ったことだろう。ひっそりとした薄い闇に、上背のある男の姿が浮かび上がる。月明かりに照らし出された真吉の貌は、どこまでも静謐だった。この漆黒の瞳に見つめられたいと、ずっと思っていた。焦がれて焦がれて、どうしようもないほどに。
「真吉さん」
何か言おうとするお逸の唇を、伸びてきた真吉の手が覆った。真吉が眼顔でかぶりを振る。その眼は、〝何も言うな〟と告げている。

