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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第1章 第一話【天つみ空に】 其の壱
それでも、生まれて初めて白無垢を身に纏い、綿帽子を目深に被ったときは、お逸も胸に迫るものがあった。傍らの清五郎はまるで人形のような花嫁を微笑んで見つめている。
後に、清五郎はお逸に語った。
「ちゃんとした祝言は本当は肥前屋さんの一周忌を終えてからでも良いと思ったんだ。今はとりあえずは仮祝言だけで良いのではないかとね。しかし、どうせ、祝言を挙げるのであれば、今も一年後も同じことだからね。お前さんを迎える前は、形だけの夫婦ゆえ、祝言そのものも要らないのではと考えていたほどだった。それでも、私は二度目でも、お前さんにとっては初めての祝言だ。一度は白無垢も着てみたかろうと思い直したのだよ」
後に、清五郎はお逸に語った。
「ちゃんとした祝言は本当は肥前屋さんの一周忌を終えてからでも良いと思ったんだ。今はとりあえずは仮祝言だけで良いのではないかとね。しかし、どうせ、祝言を挙げるのであれば、今も一年後も同じことだからね。お前さんを迎える前は、形だけの夫婦ゆえ、祝言そのものも要らないのではと考えていたほどだった。それでも、私は二度目でも、お前さんにとっては初めての祝言だ。一度は白無垢も着てみたかろうと思い直したのだよ」