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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第5章 第二話【春の日】其の壱
その稼ぎから考えても、このような半籬での遊興は滅多にできるものではない。覚悟を決めての一大散財のはずで、その嬉しさからか相当酔っぱらっているらしく、呟いているのは歌というよりは、酒の熱に浮かされた酔っぱらいのたわ言のようだ。
金はそこそこ持っているが、廓遊びに必要な粋な心配りなぞ、およそ持ち合わせてはいない。ただ花の吉原できれいどころと一夜を過ごすことに浮かれっ放しで、それこそが男の甲斐性だと思い込んでいるような男だ。このような男が遊女から好かれるはずもないのだが、そこは女郎のこと、女の方も商売と割り切って、表向きだけは愛想良くあしらってくれるものだから、ますます良い気になっている。
金はそこそこ持っているが、廓遊びに必要な粋な心配りなぞ、およそ持ち合わせてはいない。ただ花の吉原できれいどころと一夜を過ごすことに浮かれっ放しで、それこそが男の甲斐性だと思い込んでいるような男だ。このような男が遊女から好かれるはずもないのだが、そこは女郎のこと、女の方も商売と割り切って、表向きだけは愛想良くあしらってくれるものだから、ますます良い気になっている。