この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第5章 第二話【春の日】其の壱
だが―。現実はそうそう甘くはなかった。最初は養女に迎えるつもりだと聞いていたのに、お逸は清五郎の妻として伊勢屋に入ることになった。しかも、清五郎はお逸には何もしないと約束しながら、突然、手込めにしようとしたのだ。
お逸は伊勢屋の手代頭真吉と共に店を出た。そして、逃げ込んだ先がこの吉原遊廓であったというわけだ。
「まア、判ったらそれで良い。とにかく、今後はくれぐれも人眼には立たないように気をつけておくれよ。今回は何とか穏便に話し合いが済んだから良かったようなものの、これが向こうにごねられ続けて事が広まれば、うちの見世の信用にも関わることだから」
お逸は伊勢屋の手代頭真吉と共に店を出た。そして、逃げ込んだ先がこの吉原遊廓であったというわけだ。
「まア、判ったらそれで良い。とにかく、今後はくれぐれも人眼には立たないように気をつけておくれよ。今回は何とか穏便に話し合いが済んだから良かったようなものの、これが向こうにごねられ続けて事が広まれば、うちの見世の信用にも関わることだから」