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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第5章 第二話【春の日】其の壱
甚佐がおもむろに傍らの煙草盆を引き寄せた。愛用の煙管は日本橋の名だたる店で特別に作らせた品である。その煙管に火を付けながら、甚佐は低い声で言った。
「お前はあの娘をひとめ見た瞬間、色黒の醜い小娘だと決めつけた。いや、実際、誰だって、そう思うには違えねえ。それこそ炭団のように真っ黒で垢抜けない。長年、色んな娘を見てきた楼主の儂でさえ、この娘はおよそ女としての魅力は何一つ備えてはいないと思ったほどだからね。
「お前はあの娘をひとめ見た瞬間、色黒の醜い小娘だと決めつけた。いや、実際、誰だって、そう思うには違えねえ。それこそ炭団のように真っ黒で垢抜けない。長年、色んな娘を見てきた楼主の儂でさえ、この娘はおよそ女としての魅力は何一つ備えてはいないと思ったほどだからね。