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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第5章 第二話【春の日】其の壱
「いや、それは、とんだ早とちりじゃねえか」
〝え〟と言いたげに、おしがが眼を見開く。
甚佐はここでもまた皮肉げな笑みを浮かべた。
「―と、儂はこの頃、思うのよ。いや、正確に言やア、あの娘を最初に見た日にそう考えた。初めは色黒の救いようのねえ醜女だと思ったが、いやいや、そんなちょっと見にごまかされてはならねえと思ったのさ。あの娘の顔をよおく見てごらん。意外に整った眼鼻立ちをしている。誰もがあの色の黒さに惑わされちまうが、実際はそれほど不器量な娘というわけでもねえ」
〝え〟と言いたげに、おしがが眼を見開く。
甚佐はここでもまた皮肉げな笑みを浮かべた。
「―と、儂はこの頃、思うのよ。いや、正確に言やア、あの娘を最初に見た日にそう考えた。初めは色黒の救いようのねえ醜女だと思ったが、いやいや、そんなちょっと見にごまかされてはならねえと思ったのさ。あの娘の顔をよおく見てごらん。意外に整った眼鼻立ちをしている。誰もがあの色の黒さに惑わされちまうが、実際はそれほど不器量な娘というわけでもねえ」