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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第1章 第一話【天つみ空に】 其の壱
お逸は二人の侍の姿を認めると、すぐに道の脇に寄った。背後のおみねがもたもたとしているのを振り返り、眼顔で脇によけるように伝える。だが、少し遅かった。おみねが向こうから歩いてきた一人とぶつかってしまった。もっとも、ぶつかったとはいっても、肩がほんの少々軽く触れたといった程度のものだ。
しかし、若い武士は眉間に皺を刻んだ。
「おい、そこの娘。たかだか町人風情が仮にも公方さまより直々に扶持を賜る御家人の我等にぶつかってくるとは、良い度胸よの」
しかし、若い武士は眉間に皺を刻んだ。
「おい、そこの娘。たかだか町人風情が仮にも公方さまより直々に扶持を賜る御家人の我等にぶつかってくるとは、良い度胸よの」