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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐 
《其の弐》

 その二日後の昼下がり、お逸はいつものように二階の廊下をせっせと拭いていた。隅から隅までを行きつ戻りつしながら雑巾をかける。丁度、何往復かした時、ふいに眼の前に立ち塞がる人影があった。
「お逸」
 名を呼ばれ、お逸は弾かれたように顔を上げた。深い声が心に滲み通るようで、この声を聞いただけで涙が溢れそうになる。
「真吉―さん」
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