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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐
「淋しくはなかったか?」
顔を覗き込まれ、お逸は小さく首を振る。
この前に二人きりでこうして話をしたのは、もうひと月以上も前になる。その後も何度かは顔を見かけたけれど、他の人がいたから到底話などはできなかった。
二人は、花乃屋では兄妹だということになっている。甚佐に問われた真吉が咄嗟に機転を利かしてそう応えたのだ。が、二人が兄妹だということを皆がどこまで信じているのかは判らない。最初に甚佐が考えたとおり、真吉とお逸は兄と妹というには、あまりにも似ていないし、第一、その態度が不自然すぎる。
顔を覗き込まれ、お逸は小さく首を振る。
この前に二人きりでこうして話をしたのは、もうひと月以上も前になる。その後も何度かは顔を見かけたけれど、他の人がいたから到底話などはできなかった。
二人は、花乃屋では兄妹だということになっている。甚佐に問われた真吉が咄嗟に機転を利かしてそう応えたのだ。が、二人が兄妹だということを皆がどこまで信じているのかは判らない。最初に甚佐が考えたとおり、真吉とお逸は兄と妹というには、あまりにも似ていないし、第一、その態度が不自然すぎる。