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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐
真吉はよく、こうやって、お逸の髪を撫でた。もっとも、二人だけでこうやって逢うこと自体が少ないのだから、滅多とあることではないのだけれど。
お逸は、真吉に髪を撫でられるのが好きだ。その撫で方はまるで兄が妹に対するような無造作なもので、その仕草だけを見ていれば、二人が本当に兄と妹なのだと勘違いする者もいるかもしれない。それほどに、真吉のお逸に対する態度に、男の欲望めいたものは感じられない。お逸にしてみれば、それが安心できると同時にほんの少し物足りないようにも思ってしまう。そんな風に考えてしまう自分を、はしたなく許せないものだとも思う。
お逸は、真吉に髪を撫でられるのが好きだ。その撫で方はまるで兄が妹に対するような無造作なもので、その仕草だけを見ていれば、二人が本当に兄と妹なのだと勘違いする者もいるかもしれない。それほどに、真吉のお逸に対する態度に、男の欲望めいたものは感じられない。お逸にしてみれば、それが安心できると同時にほんの少し物足りないようにも思ってしまう。そんな風に考えてしまう自分を、はしたなく許せないものだとも思う。