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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐
―まさか、真さん。お前さんとあのたどんが兄と妹だなんぞこの廓の連中が信じてるとお思いなんすか。皆が知らぬ貌をしていなんすけど、あんな真っ赤な嘘を信じてる者は一人もおりいせん。
黙って部屋を出て行きかけた真吉の背に、憤りの滲んだ声が追いかけてきた。
―このあちきにこれほどの恥をかかせるからには、それだけの覚悟は持ちなんすか、真さん。
真吉は、それには応えず、黙って部屋の襖を閉めた。背後で、腹立ち紛れに、何かを襖にぶつける音が響いた―。
黙って部屋を出て行きかけた真吉の背に、憤りの滲んだ声が追いかけてきた。
―このあちきにこれほどの恥をかかせるからには、それだけの覚悟は持ちなんすか、真さん。
真吉は、それには応えず、黙って部屋の襖を閉めた。背後で、腹立ち紛れに、何かを襖にぶつける音が響いた―。