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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐
「泣くな、お逸。頼むから、泣かないでくれ」
そう言う真吉の眼も揺れていた。
心を後に残しながら、真吉が階下へと降りてゆく。お逸は涙を零しながら、その場にくずおれた。あまりにも呆気ない逢瀬だった。
それでも、逢えないよりは、よほど良い。
次はいつ逢えるのだろうか。また、次に逢える日までの長い日々を指折り数えて暮らす毎日が続くのだ。
―真吉さん。
お逸の眼から次々に溢れる涙の雫が廊下を濡らして、染みを作った。
その時、廊下の突き当たり―わずかに開いていた東雲の部屋の襖が静かに閉まったことに、迂闊にもお逸は気付かなかった。
そう言う真吉の眼も揺れていた。
心を後に残しながら、真吉が階下へと降りてゆく。お逸は涙を零しながら、その場にくずおれた。あまりにも呆気ない逢瀬だった。
それでも、逢えないよりは、よほど良い。
次はいつ逢えるのだろうか。また、次に逢える日までの長い日々を指折り数えて暮らす毎日が続くのだ。
―真吉さん。
お逸の眼から次々に溢れる涙の雫が廊下を濡らして、染みを作った。
その時、廊下の突き当たり―わずかに開いていた東雲の部屋の襖が静かに閉まったことに、迂闊にもお逸は気付かなかった。