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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐
刹那、お逸は眼を瞠った。
松風が微笑んで、首肯する。
「そう、どこの廓でも若い衆と女郎の恋はきつう戒められておりんす。この花乃屋では特に厳しうて、見つかれば、まず生命はないものと覚悟は致さねばなりんせん。お父さんは話の判るお人でありんすけど、そういったことについてはどこまでも非情になりんすよって」
松風はそこで小さな息を吐いた。
「それでも、あちきは、その男に惚れておりんした。惚れて惚れ抜いて、この数ならぬ生命さえ、望まれれば歓んで差し出しても良いと思うておりんしたよ」
松風が微笑んで、首肯する。
「そう、どこの廓でも若い衆と女郎の恋はきつう戒められておりんす。この花乃屋では特に厳しうて、見つかれば、まず生命はないものと覚悟は致さねばなりんせん。お父さんは話の判るお人でありんすけど、そういったことについてはどこまでも非情になりんすよって」
松風はそこで小さな息を吐いた。
「それでも、あちきは、その男に惚れておりんした。惚れて惚れ抜いて、この数ならぬ生命さえ、望まれれば歓んで差し出しても良いと思うておりんしたよ」