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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐
内心、
―姉さんは、あんな助平そうな爺イと床を共にしなければならないなんて、お可哀想。
と、緋桜に同情していたのだ。
が、どういう番狂わせか、この隠居は噂に聞いた高嶺の花の緋桜花魁より、振袖新造の初音の方にすっかり惹かれてしまった。大体名指しした当の花魁の面前で、花魁よりも振新の方が良いなぞと堂々と宣言すること自体が、花魁にとっては失礼な話だ。少しでも廓での作法や常識を知る者ならば、まず、こんな馬鹿げたことはしないものだ。
―姉さんは、あんな助平そうな爺イと床を共にしなければならないなんて、お可哀想。
と、緋桜に同情していたのだ。
が、どういう番狂わせか、この隠居は噂に聞いた高嶺の花の緋桜花魁より、振袖新造の初音の方にすっかり惹かれてしまった。大体名指しした当の花魁の面前で、花魁よりも振新の方が良いなぞと堂々と宣言すること自体が、花魁にとっては失礼な話だ。少しでも廓での作法や常識を知る者ならば、まず、こんな馬鹿げたことはしないものだ。