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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐
松風が白い指先で涙をぬぐう。そういった何げない挙措さえ、花魁ともなれば、何やらそこはかとない色香が漂うようだ。
「真吉さんとお前を見ていると、あちきは、四年前のあちきと信八っつぁんを見ているような気がしなんすよ。あの頃のあちきたちも不器用で一途で、ひたむきな恋に身を灼いておりんしたもの。だからこそ、お前たちには、あちきたちと同じ道は歩んで欲しくはない、せめて二人で幸せになって欲しいと願うておりんす」
松風がじみじみとした口調で言う。
「真吉さんとお前を見ていると、あちきは、四年前のあちきと信八っつぁんを見ているような気がしなんすよ。あの頃のあちきたちも不器用で一途で、ひたむきな恋に身を灼いておりんしたもの。だからこそ、お前たちには、あちきたちと同じ道は歩んで欲しくはない、せめて二人で幸せになって欲しいと願うておりんす」
松風がじみじみとした口調で言う。