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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐 
 お逸はその場に両手を付いた。
「花魁、お願いです。どうか、私たちのことは黙っていて頂けませんか、このまま見過ごして下さい」
 と、松風がにっこりと笑った。先刻までの消沈した様子はすっかり消えている。その晴れ晴れとした表情は、何か憑きものが落ちたようにも見える。
「私をそんな情のない女だと思ってたのかえ? 見くびらないで貰いたいね。安心しな。喋りゃアしないよ」
 いきなり廓言葉を使わず、伝法な物言いになった松風を、お逸は愕いた顔で見つめる。
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