パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第6章 第二話【春の日】其の弐　

　松風の表情が俄に引き締まったからだ。
　花魁は笑顔を引っ込め、真顔になった。
「でも、これだけは用心しな。廓内での色恋沙汰は固いご法度なんだ。二人で晴れてここを出てゆきたければ、今は辛抱して、その日が来るのを待った方が良い。あんたたちにどんな事情があるのかまでは知らないが、ここに潜んでいれば、いずれ、ほとぼりが醒める日も来るだろう。くれぐれも早まった真似をしたりしないと約束しておくれ」
「はい」
　お逸は感謝の想いを込め、松風に深々と頭を下げた。