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第6章 第二話【春の日】其の弐　

「さ、早く行きな。あんまり長くここで油を売ってたら、また、おしがの婆さんに絞られるよ。それに、一体何の話をしてたんだと要らぬ腹の内を勘繰られても癪だろう？」
　その言葉に促され、お逸は立ち上がった。
「本当にありがとうございました」
　襖を開ける間際、膝を揃えてもう一度頭を下げた時、松風の澄んだ声が降ってきた。
　もう、いつものたおやかな松風に戻っている。