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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第7章 第二話【春の日】其の参
何も好きこのんで女郎になったわけじゃないんだよ? あたしだって、自由に生きたかったよう。花魁と崇め奉られて、綺麗なべべを着たって、所詮は身体を売るのが商売の女郎じやないか。あたしだって、親父に売り飛ばされなけりゃア、今頃は堅気の男と所帯を持って、人並みに赤ン坊の一人くらいは産んでたかもしれない。―そう思うと、悔しくて情けなくて、しようがないんだよ。何で自分だけがこんな哀しい想いをしなきゃならないのかと世の中の連中すべてを恨みたくもなるのさ。