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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第7章 第二話【春の日】其の参
「それは―」
松風が言いかけるのを、東雲が遮った。
「判ってるよ。あたしが女郎だからだろう? だけど、あたしは好きで女郎になったわけじゃない。親父だって、おっかさんが亡くなるまでは、ちゃんと真面目に働いてたんだ。なのに、おっかさんがあたしと妹たち二人を置いて死んじまって、人が変わったようになっちまった。酒ばっかり浴びるように呑んで、挙げ句は働かなくなって、あたしは酒代の代わりとして実の親に女衒に売られた。
松風が言いかけるのを、東雲が遮った。
「判ってるよ。あたしが女郎だからだろう? だけど、あたしは好きで女郎になったわけじゃない。親父だって、おっかさんが亡くなるまでは、ちゃんと真面目に働いてたんだ。なのに、おっかさんがあたしと妹たち二人を置いて死んじまって、人が変わったようになっちまった。酒ばっかり浴びるように呑んで、挙げ句は働かなくなって、あたしは酒代の代わりとして実の親に女衒に売られた。