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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第8章 第三話 【白妙菊の約束】其の壱
多治郎が訪れた時、生憎、甚佐は留守であった。常ならば多治郎は二、三日は江戸に滞在してゆくのだけれど、今回ばかりは、その脚で北陸まで出向かねばならぬとかで早々に暇乞いをした。
大方は北陸の貧しい村々を回り、娘たちを集めるに相違ない。気候のせいか、北陸出身の娘は皆、色が抜けるように白く肌理が細やかだ。おまけに、辛抱強い気質を持っていることから、どの妓楼でも北陸から来た娘は歓迎された。