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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第8章 第三話 【白妙菊の約束】其の壱
むろん、それは、お逸の考えすぎに違いないと判ってはいるのだけれど。
判ってはいても、底の知れぬ不気味な男―というのが、お逸の甚佐に対する見方だ。できれば、あんな人物とは拘わり合いたくないと思う。あんな、何もかもを見透かすかのような冷たい眼に射竦められるのは嫌だった。
松風花魁は、また、こうも言ったのだ。
―おしが婆さんは小うるさいが、見かけよりは存外に人は好い。このことも知っていて、損はないと思いんすよ。
判ってはいても、底の知れぬ不気味な男―というのが、お逸の甚佐に対する見方だ。できれば、あんな人物とは拘わり合いたくないと思う。あんな、何もかもを見透かすかのような冷たい眼に射竦められるのは嫌だった。
松風花魁は、また、こうも言ったのだ。
―おしが婆さんは小うるさいが、見かけよりは存外に人は好い。このことも知っていて、損はないと思いんすよ。