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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第9章 第三話 【白妙菊の約束】其の弐
肩の下で切り揃えられた髪、紫の華やかな小袖は禿―しかも引っ込み禿のお仕着せである。どちらかといえば小柄な紫乃にひきかえ、妙乃は子どもにしては大柄だ。ゆえに、そこにいるのが妙乃であることはすぐに知れた。
お逸は、まだ妙乃と直接に話したことはない。父や母と引き離され、たった一人で妓楼に売られてきた少女は、まだ十一歳であった。
さぞ心細く辛い想いをしているのではないか、そう思って声をかけようとして、すんでのところで言葉を呑み込んだ。
お逸は、まだ妙乃と直接に話したことはない。父や母と引き離され、たった一人で妓楼に売られてきた少女は、まだ十一歳であった。
さぞ心細く辛い想いをしているのではないか、そう思って声をかけようとして、すんでのところで言葉を呑み込んだ。