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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第9章 第三話 【白妙菊の約束】其の弐

お逸の視線と妙乃の視線が交わった。途端に、妙乃の愛らしい顔が強ばる。その大きな瞳には冴え冴えとした涙の雫が残っている。―やはり、妙乃が泣いていたのは、見間違いではなかったようだ。
怯えた子鹿のように逃げてゆく妙乃の後ろ姿に、お逸は呼びかけた。
「妙乃ちゃん!!」
逃げてゆく途中、妙乃の袖から、ひらりと何かが落ちた。恐らくはお逸の姿を認めて、慌てて袂にねじ込んだ物―先刻まで胸に抱きしめていたものに違いない。
怯えた子鹿のように逃げてゆく妙乃の後ろ姿に、お逸は呼びかけた。
「妙乃ちゃん!!」
逃げてゆく途中、妙乃の袖から、ひらりと何かが落ちた。恐らくはお逸の姿を認めて、慌てて袂にねじ込んだ物―先刻まで胸に抱きしめていたものに違いない。

