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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐

一瞬、奥ノ院まで戻ろうかとも考えたものの、紅葉狩りに来たことは判っている。紅葉の樹の下で待っていれば、おみねもすぐに追いついてくるだろうと思い直した。大池のほとりまで来た時、お逸の草履の鼻緒が切れてしまった。お逸は懐から手ぬぐいを取り出し、とりあえず歩けるようにだけは直しておいた。
お逸は眩しげに眼をまたたかせ、乱反射する池の面を眺めた。穏やかな陽差しを受けて、鏡面のように煌めく池の面に、無数の紅葉がはらはらと散り零れている。紅い紅葉は水面を朱(あけ)の色に染める。その光景はさながら、紅葉に飾られた一枚の輝く布であった。
お逸は眩しげに眼をまたたかせ、乱反射する池の面を眺めた。穏やかな陽差しを受けて、鏡面のように煌めく池の面に、無数の紅葉がはらはらと散り零れている。紅い紅葉は水面を朱(あけ)の色に染める。その光景はさながら、紅葉に飾られた一枚の輝く布であった。

