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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第9章 第三話 【白妙菊の約束】其の弐
「申し訳ございません、生意気なことを申し上げてしまいました」
甚佐は笑って手を振る。
「いや、気にせずとも良い。お前なら、松風以上の名妓になれるだろう」
「―え?」
甚佐の科白の最後の方はあまりにも低い声で、よく聞き取れなかった。
「いや、何でもない。歳を食うと、どうにも独り言が多くなるのだ。判った、笄の件は、お前の言うことを信じよう」
甚佐は鷹揚に言うと、顎をしゃくった。