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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第10章 第三話 【白妙菊の約束】其の参
そのときの映像が鮮烈な記憶となって、今も色褪せぬ花のように妙乃の胸の奥でひっそりと咲いている。それは、妙乃にとっては宝物にも等しい想い出であった。
妙乃は手のひらでごしごしと涙をぬぐう。
そんな仕草はやはりまだ十一歳の子どものものだった。
「お逸さんが拾った手紙の次に届いた手紙には、こう書いてありました。帰ってきたら、いずれ一緒に所帯を持とうって」
そう言いながらも、妙乃の眼からは次々に大粒の涙が落ちてくる。
妙乃は手のひらでごしごしと涙をぬぐう。
そんな仕草はやはりまだ十一歳の子どものものだった。
「お逸さんが拾った手紙の次に届いた手紙には、こう書いてありました。帰ってきたら、いずれ一緒に所帯を持とうって」
そう言いながらも、妙乃の眼からは次々に大粒の涙が落ちてくる。