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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第10章 第三話 【白妙菊の約束】其の参
お逸の膝の上は、ほんのりと温かくて、その優しい温もりは、妙乃の懐かしい記憶をそっと揺さぶり起こす。母の膝枕でうとうとしながら昼寝をしたのは、いつの日のことだったろうか。
うとうとしながら妙乃は自問自答したけれど、応えは出てこなかった。
安らかな寝息を立て始めた妙乃を起こさぬよう細心の注意を払いつつ、お逸はそっと頭上を振り仰ぐ。つい今し方までそこにあったひとすじの雲は、いつしか見当たらなくなっていた。
うとうとしながら妙乃は自問自答したけれど、応えは出てこなかった。
安らかな寝息を立て始めた妙乃を起こさぬよう細心の注意を払いつつ、お逸はそっと頭上を振り仰ぐ。つい今し方までそこにあったひとすじの雲は、いつしか見当たらなくなっていた。