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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第11章 第四話【恋月夜】 其の壱
お逸は元々、江戸でも指折りの大店にして老舗の呉服太物問屋肥前屋の一人娘であった。それが父の突然の死によって、すべてのものを失った。あろうことか、父は商売に失敗して多額の負債を抱えていたのだ。お逸は借金のかたに遊廓に売られそうになったのだが、その危機を救ってくれたのが父の長年の友人伊勢屋清五郎であった。
清五郎はまだ三十一歳の若さながら、同業の呉服商から一目置かれるほどの凄腕の商人であり、父の良き理解者でもあった。しかし、清五郎はお逸を養女として引き取ると言ったはずなのに、現実としては女房として迎えられたのだ。
清五郎はまだ三十一歳の若さながら、同業の呉服商から一目置かれるほどの凄腕の商人であり、父の良き理解者でもあった。しかし、清五郎はお逸を養女として引き取ると言ったはずなのに、現実としては女房として迎えられたのだ。