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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第11章 第四話【恋月夜】 其の壱
 その時、一陣の風がサァーと吹き渡り、満開の桜の梢が一斉にざわめいた。無数の花びらが雪のように風に舞い上がり、流されてゆく。お逸の肩に乗っていた、たった一枚の花びらもその中に紛れ、直に見えなくなってしまった。
 お逸はその花びらが消えていった方をいつまでも見つめていた。その時、背後で突如として声が響いた。
「お逸、お逸はいるかえ」
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