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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第11章 第四話【恋月夜】 其の壱
いつの日か、真吉と二人で共に暮らしたい―、それが今のお逸の願いだ。同じ屋根の下に暮らしながら真吉と滅多に逢えないのは辛かったけれど、お逸には希望がある。その希望が消えない限り、お逸は前を向いて歩いてゆけた。真吉こそが、お逸の心の拠り所であり、光であった。
お逸は名残惜しさを感じつつも、ゆっくりと身を起こす。立ち上がると、肩に乗っていた薄紅色の花片をそっと指先で摘んだ。ふうっと吐息を吐きかけただけで、花びらは飛んでゆく。
お逸は名残惜しさを感じつつも、ゆっくりと身を起こす。立ち上がると、肩に乗っていた薄紅色の花片をそっと指先で摘んだ。ふうっと吐息を吐きかけただけで、花びらは飛んでゆく。