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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第11章 第四話【恋月夜】 其の壱
その後ろで、おしがの呆れたような声が聞こえた。
「旦那、たどんは、どうやら勘違いしているようなんですよ。どうも、あたしが知らないと思ってたらしくて、仕事をうっちゃって呑気に昼寝なんぞしていたようで」
お逸は、甚佐やおしがから我が身が〝たどん〟と呼ばれていることはよく知っていた。それは、その名のとおり炭団のように色黒だという意味合いがあることも知っている。が、お逸にしてみれば、そのように呼ばれることは、かえってもっけの幸いであったのだ。
「旦那、たどんは、どうやら勘違いしているようなんですよ。どうも、あたしが知らないと思ってたらしくて、仕事をうっちゃって呑気に昼寝なんぞしていたようで」
お逸は、甚佐やおしがから我が身が〝たどん〟と呼ばれていることはよく知っていた。それは、その名のとおり炭団のように色黒だという意味合いがあることも知っている。が、お逸にしてみれば、そのように呼ばれることは、かえってもっけの幸いであったのだ。