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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第11章 第四話【恋月夜】 其の壱
おしがの言葉を受けて、甚佐は片頬を歪めた。この男特有の笑い方で、こんな笑い方をすると、普段は穏やかで物判りも良い四十男の本性がまざまざと現れる。そう、どこまでも酷薄で、目的を遂げるためには手段を選ばぬという真の姿が。
「そうか、真面目一途だと思っていたが、案外、羽目を外したりするところもあるのだな。まァ、良いだろう。それくらい抜け目のない方がこちらとしても望ましい。ただ堅物で生真面目なだけでは、この苦界は生きてはゆけないからな」
「そうか、真面目一途だと思っていたが、案外、羽目を外したりするところもあるのだな。まァ、良いだろう。それくらい抜け目のない方がこちらとしても望ましい。ただ堅物で生真面目なだけでは、この苦界は生きてはゆけないからな」