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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第11章 第四話【恋月夜】 其の壱
「申し訳ありません、その理由は申し上げられません」
 お逸が再び頭を下げると、清五郎の乾いた声が響いた。
「あの男か? 真吉のせいだな」
「―」
 何も言えなかった。現実として、お逸と真吉は二人で伊勢屋を出たのだ。お逸は今更、この場で白々しい言い逃れを口にできるような娘ではない。沈黙は何よりの肯定であった。
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