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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第11章 第四話【恋月夜】 其の壱
清五郎が皮肉げな笑みを刻む。
「お前は虫も殺さぬような可愛い顔をしていながら、空恐ろしい女だな。その愛らしい顔で、私を欺き、真吉まで籠絡したか。これだから、女は浅はかだ。お前は真吉の将来を考えたことが一度でもあったのか? 私はこう見えても、真吉の商いの才覚と誠実な人柄を見込んでいた。お前の色香に血迷うことなぞなければ、真吉はゆくゆくは番頭、いや、暖簾分けでもして、新しい店の一つでも持っていたかもしれないんだぞ。
「お前は虫も殺さぬような可愛い顔をしていながら、空恐ろしい女だな。その愛らしい顔で、私を欺き、真吉まで籠絡したか。これだから、女は浅はかだ。お前は真吉の将来を考えたことが一度でもあったのか? 私はこう見えても、真吉の商いの才覚と誠実な人柄を見込んでいた。お前の色香に血迷うことなぞなければ、真吉はゆくゆくは番頭、いや、暖簾分けでもして、新しい店の一つでも持っていたかもしれないんだぞ。