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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐

お逸は途中ではぐれてしまったおみねを案じながら、真吉と共に伊勢屋に戻った。おみねは既に店に帰り着いており、大番頭や女中頭から大目玉を喰らっている最中であった。
「旦那さまが掌中の玉と大切になさっておられるお内儀さんに、万が一、もしものことがあったら、どうするつもりだったんだえ。お前だけじゃなくて、私たちまでもが旦那さまからきついお叱りを受けることになってしまうんだよ? 本当にお前はうすのろの気の利かない子だねえ。お内儀さんをそのまま随明寺に残して、ほっぽり出して一人でのこのこと帰ってくるなんて」
女中頭のおふみは血相を変えて怒鳴り散らしていた。おみねの常のことで、うなだれて何も言わず、ただ〝申し訳ございません〟と繰り返しているだけである。
「旦那さまが掌中の玉と大切になさっておられるお内儀さんに、万が一、もしものことがあったら、どうするつもりだったんだえ。お前だけじゃなくて、私たちまでもが旦那さまからきついお叱りを受けることになってしまうんだよ? 本当にお前はうすのろの気の利かない子だねえ。お内儀さんをそのまま随明寺に残して、ほっぽり出して一人でのこのこと帰ってくるなんて」
女中頭のおふみは血相を変えて怒鳴り散らしていた。おみねの常のことで、うなだれて何も言わず、ただ〝申し訳ございません〟と繰り返しているだけである。

