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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐

若い二人の上で紅く色づいた紅葉の枝が揺れている。雲に隠れていた太陽も再び姿を現し、秋の陽が穏やかに水面に降り注いでいた。
そのときのお逸は、我が身が男の腕に抱かれている自覚は全くなかった。我に返って頬を赤らめたのは、漸く泣き止んだ後、真吉に付き添われて伊勢屋に帰って、改めて自室で一人になったときのことである。
が、そのお逸もまさか、大池のほとりで真吉の腕に抱かれている場面を物陰からそっと窺い見ている者がいたとは考えもしなかった―。
そのときのお逸は、我が身が男の腕に抱かれている自覚は全くなかった。我に返って頬を赤らめたのは、漸く泣き止んだ後、真吉に付き添われて伊勢屋に帰って、改めて自室で一人になったときのことである。
が、そのお逸もまさか、大池のほとりで真吉の腕に抱かれている場面を物陰からそっと窺い見ている者がいたとは考えもしなかった―。

