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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐

お逸の瞼に一人の男の面影が甦る。昨日、随明寺で共に紅葉を眺めた男。あの男のことがどうして、こんなにも忘れられないのだろう。お逸はハッと我に返り、赤面した。
「私ったら、どうして」
言いかけて、言葉を呑み込む。それは、けして言ってはならぬ言葉だったからだ。
―どうして、私はあの歌を思い出したときに、真吉さんのことを考えてしまったの?
真吉のことを考えたり思い出したりすると、心がキュッと絞られたように胸苦しく、切ない。この気持ちは何なのだろう。そのくせ、真吉にもう一度逢いたいと思ってしまう、家の中でも真吉の姿を探してしまう。
「私ったら、どうして」
言いかけて、言葉を呑み込む。それは、けして言ってはならぬ言葉だったからだ。
―どうして、私はあの歌を思い出したときに、真吉さんのことを考えてしまったの?
真吉のことを考えたり思い出したりすると、心がキュッと絞られたように胸苦しく、切ない。この気持ちは何なのだろう。そのくせ、真吉にもう一度逢いたいと思ってしまう、家の中でも真吉の姿を探してしまう。

